ダチみたいな格好をしたオトリ捜査官 誰も面会には来ない *面会人が囚人の刑務所内口座に現金を振り込むと、囚人は刑務所内の売店で身の回り品や軽食を買える ■犯罪 ニューヨークのライカーズ刑務所に収監されている者のうち、9割近くを黒人とヒスパニックが占めている。彼らの多くはドラッグの所持または売買による罪で収監されている。では、なぜドラッグなのか。 貧しい生活は人を落ち込ませる。テレビを付ければ、そこには豊かな生活のすべてが映し出されている。ところが自分は家賃や電気代の支払いに追われ、最低限の食料品と衣服を買えば、手元には何も残らない。自分の家族や親戚、友人や近所の住人も同じ状況にあり、ゲットーのどこにも明るい話題は見当たらない。こんな暮らしが延々と続けば、誰でも何かに逃避を求めたくなる。 だからゲットーの住人はドラッグを使う。ある一定の地域に大量のドラッグ常用者がいれば、そこにはドラッグ売買のビジネスが成立する。ドラッグ密売は、まともな仕事に就きにくいゲットーの男性が簡単に大金を手にできる「職業」なのだ。 ■ドラッグと殺人 高所得の白人がインターネットで高品質・高価格のドラッグを売買しているご時世に、黒人はストリートで安物のドラッグを売り続ける。顧客がコンピュータなど持っていないからだ。強い日差しが照り付ける真夏も、手がかじかむほど寒い冬の日も、密売人たちはひたすら街角に立ち続ける。 商品が合法であれ、ドラッグのような非合法であれ、ビジネスの場には必ずトラブルが発生する。ドラッグ密売組織間でもめ事が起きた場合、その最終的な解決策は「殺人」だ。銃は、銃の密売組織から簡単に手に入れることができる。
■刑務所カルチャー ゲットーで起る事件は、加害者も犠牲者も共に黒人であることが多い。これを「ブラック・オン・ブラック」と呼ぶ。 犯罪を犯すことを誇示するラップは以前よりあるが、ここ最近、刑務所内の様子を描いた曲やビデオ(女性アーティストの場合は、獄中の恋人に面会に行くというストーリー)が増えている。中には獄中レコーディングのアルバムをヒットさせているラッパー(*)さえ存在する。 *1999年、ニューヨークのクラブで発砲事件が起こり、P・ディディーとラッパーのシャインが逮捕された。P・ディディーは無罪となったが、シャインは懲役10年の刑を受け、今年、獄中からアルバム「Godfather Buried Alive」をリリースし、ヒットさせた
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