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2000/3/23

アメリカ映画
ブラック&ホワイト事情



オリバー・ストーン監督の最新作「Any Given Sunday」をヘルズ・キッチンにある二番館ワールドワイド(50th St. bet. 8th Ave. & 9th Ave. )で観る。ロードショー館が8.5ドルなのに対して、ここは4.0ドルとかなりお得な料金設定。(※後日記:この映画館は閉鎖となりました)


アル・パチーノがヘッド・コーチを務めるアメフト・チーム、マイアミ・シャークスは、パチーノと若い女性オーナー(キャメロン・ディアス)の確執、リーダー格選手(デニス・クエイド)の負傷とトラブル続き。スター・クオーターバック(LLクールJ)はあくまで我が道を行くし、急に人気の上がった若手選手(ジェイミー・フォックス)はライフスタイルに問題がある。パチーノは問題山積みのなかで自らの孤独を噛みしめ…。


冒頭の試合シーンは、かなり気合いが入っている。通常では考えられないアングルから選手たちの肉弾戦を迫力満点に捉え、観客はのっけからエキサイトさせられる。ブロックされた選手が香港カンフー・ムービー並みに宙を舞う。Ohhhh!!!!! Shiiiiiit!!!!! 客席から喚声が上がる。タッチダウン。Yheeeeehhhh!!!!! He got it!!!!!!!! 二人のスター・ブラック・アクターの顔合わせが、さらに興奮を誘う。


LLクールJは日本でもラッパー及び映画俳優として知られているけれど、こちらではテレビで主役ドラマも持っているお茶の間のスターでもある。ジェイミー・フォックスは、まだ日本ではあまり知られていないはずだけれど、人気コメディ・ショー「サタデー・ナイト・ライヴ」の出身で、彼もまた自身のドラマ枠を持っている超人気者。


それにしても、である。主役はあくまでパチーノであるにもかかわらず、観客の実に90%は黒人とラティーノであった。若い黒人男性はアメフトに夢中だし、実際NFLの選手の過半数は黒人。また二番館で料金が安いということもあったのだろうけれど、これはさすがに当のオリバー・ストーン監督も予想していなかった現象だろう。


ちなみに後日観た、ラッパーのアイス・キューブが主役と脚本を手掛けたコメディ「Next Friday」の客層が99%黒人&ラティーノだったことは言うまでもない。こちらは、L.A.サウスセントラルに住む主人公(アイス・キューブ)が、宝くじを当てて郊外に移った従兄弟を訪ね、そこで隣家のチカーノ(メキシコ系アメリカ人)と一悶着、という他愛のないストーリー。白人はほとんど出てこない。従って白人客は観に来ないという、これまた判りやすい図式であった。


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