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2002/04/19

いきなり真夏日のハーレム

 (4月17日)今日、ニューヨークは華氏92度(33℃)の暑さとなった。ハーレムのアパートから通りに出てみると、いつも街角に立っている若い男たちはみんな白いTシャツを来て、何人かはジーンズも白、スニーカーも昨年から復活の兆しを見せているプレーンな白。さらに頭に被っているドゥラグまで白。毎日ストリートに立っているだけのどうしようもない男たちですら、まぶしい陽射しに白いシャツが映えて、なんだかナイス&クリーン(nice'n clean)に見えるから不思議。


 おばさんたちは早速ビーチチェアを持ち出して、ゆったりとおしゃべり。子供たちはキックボード、ティーンエイジャーたちは例の改造自転車(映画「ベイビーボーイ」に出てくるチョッパーみたいなの)を乗り回している。通り過ぎるジープも覆いを外しているから、カーステからのヒップホップが大きな音で聞こえてくる。


 みんな「暑いなあ」「ほんと、暑いわねぇ」と言いながらも、不思議となんだか楽しそう。


 125丁目に出掛けると、平日にもかかわらず、いつもよりずっと人通りが多い。もう午後だったから学校から帰ってきた子供を連れたマミーたちも多い。まだ幼稚園くらいなのにサングラスをかけている男の子も、妙に似合っていて可笑しい。ベビーカーの中の赤ちゃんまで、みんな陽射しに眼を細目ながらも、やっぱり楽しそう。


 人が多いわりには、いつもより通りが明るく見えるのは、年齢も性別も関係なく、やはり白いTシャツ姿の人が多いから? 西アフリカからの女性たちも黒いジャケットを脱ぎ捨てて、本来のカラフルなアフリカン・ガーブ姿に戻っている。若い女性たちは途端に露出度が高くなり、今年もまたタトゥを見せびらかせている。


 スターバックスでは常連客が相変わらずチェスに熱中しているけれど、ガラス壁から差し込む強烈な陽射しがまぶしそう。今日は誰もラテなんか飲んでいない。みんなフラペチーノ。長いドレッドロックスをタムに押し込んでいるラスタマンは、頭がちょっと重たそう。


 ショッピング・センター、ハーレムUSAにあるOLD NAVY(GAPの廉価版ブランド)に行ってみると、みんな夏服のショッピングに忙しい。Tシャツやタンクトップ、キャンディ・カラーのフリップフロップ(ビーチサンダル)が山積み。

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 黒人が暑い夏の間もストリートに出ることに対して、「貧しい層はクーラーを持っていないから」とか、「表に出ることが彼らの社交法だから」とか言われている。確かにそれも事実なのだけれど、こんなにみんながみんな理由もなく楽しそうにしているのを見ていると、これはもう本能的なことではないかと思えてくる。そして、そんな人々に混じって通りを歩いていると、こちらまでなんだか楽しくなってくる。


 だから、本当は今回は、以前からたくさん質問をいただいている「黒人」「アフリカン−アメリカン」「アフロ−アメリカン」といった表現について書くはずだったのだけれど、ついついハーレムの夏の訪れを書いてしまいました。(そして今日の夕方にはものすごい雷雨。本来なら春雷と呼ぶべき時期なのですが、まさに真夏の土砂降り、でした)



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