NYBCT

2002/03/31

ハーレム徒然3月編
-2002年-


3/2 教会帰りのアフリカン−アメリカンのおばさまのコート。黒地に金でAfricaという文字が一面にプリントされていた。ハーレムにはアフリカ移民もいっぱいいるんだけど、こういう人に限ってアフリカ人との付き合いってないんだよ。


3/3 日本からの観光客を連れてハーレムを歩いていたら、通りすがりのおじいさんが「ハーイ!」と挨拶してくれたので、こちらも「ハーイ!」と返した。観光客の人は「…知り合いですか?」と訝っていたが、これハーレムのあたりまえ。


3/4 ニューヨークを舞台にした人気ドラマ「サードウォッチ」。真っ昼間のレストランに乗り込み、ショットガンでロシア系ギャングを皆殺しにする黒人ギャングをラッパーのメソッド・マンが演ってたけど、演技は滅茶苦茶ヘタでした。


3/5 デステニーズ・チャイルドのビヨンセが、ブロンドの髪をなびかせてヘアカラーのCMに出演中。でも彼女の髪はエクステンションよ。染めてるんじゃなくて、最初からブロンドの髪束をくっつけてるんだよ。


3/7 ハーレムの子供はマセている。「退屈だ!」と教室を抜け出した7歳のディーン。大人扱いしてやれば機嫌を直すかと思い、「退屈は人生の一部だ、受け入れろ」と諭した。ところが「そんなのはボクの人生じゃない」と言い返されてしまった。


3/8 ハーレムにはクリスピー・クリームという人気のドーナツ屋がある。すべてのドーナツに砂糖のアイシングがかかってて、しかもコーヒーを頼めば、勝手に砂糖を入れて出す。さらにはホットチョコレートを飲みながらドーナツを食べてる人もいる。カロリーって言葉は存在しないのだ、ここには。


3/9 去年までの流行だった無茶苦茶に長い付け爪+無茶苦茶にハデなマニキュアというのは、もう廃れている。それでも頑なに続けている人もいて、ハーレムのスーパーでは相変わらずボールペンでレジのキーを押してるお姐さんたちを見かける。(爪が長すぎてキーが押せないのよー)


3/12 ハーレムの映画館でアイス・キューブの新作コメディを観る。スクリーンに向かってヤジを飛ばす男。泣きまくる幼児。それをなだめもせずにスクリーンに食い入る親。10分に一度は携帯が鳴り、その度に「映画みてんのよ」と答える女。


3/13 グランドゼロでのテロ6ヶ月目の追悼式典を報じる新聞を、ハーレムのスタバで読んでいた。横から記事をのぞいた剃り上げ+ドレッドのパンキッシュな黒人女性が舌打ちした。「死んじゃった人たちは、ただ逝かせてやりな」。


3/14 ハーレムの子供「どこに住んでるの?」 私「ハーレム」 子供「えー! 中国人のとこじゃないの?」 私(ココロの中で …それはチャイナタウンのことか? ま、ええけど。)


3/15 ハーレムの女性「あなたジャパニーズよね」 私「そう」 女性「チャイナタウンで新年のお祭りあったでしょ? 行ったんでしょ?」 私(ココロの中で …いや、別に行ってもよかったんだけど、そういうことではなくて…。ま、ええけど。)


3/16 ハーレムの男性「君、ジャパニーズ? じゃ、ホームタウンを当ててみせるよ。トーキョー、いやオーサカ出身だろ?」 私「あたり(イヤな予感)」 男性「やったね! ところで君が読んでるその本、それ中国語?」 私(ココロの中で …タメ息。)


3/18 ハーレムのとあるビルにはGAPの巨大広告が月替わりで貼られている。昨日まではキュートなタイ・ディグスが微笑んでいたのに、今日みたら、なんとダニー・グローバーに変わっていた…。


3/19 ハーレムのバスの中で話しかけてきた酔っ払いの男。「ボク、ミュージシャン。ギター、ベース、キーボードなんでもプレイするよ。でもドラムだけはダメ。だって両手両足をバラバラに動かすなんて、出来るわけないじゃないか」。


3/21 自宅を留守にしている間に思いっきりガス漏れし、ハーレムの消防隊にドアをぶち破られた時。大家のおばさん「ドアを修理しろってもねえ、連休だしねえ、3〜4日はこのままでも大丈夫よ」。んなわけないでしょうが。


3/22 午後7時32分。表から大音量のジェームス・ブラウンが聞こえてくる。若い男たちが停めた車のカーステ全開で、輪になって踊っている。曲に合わせて「ホ〜!」とか叫びながら。皆すごく楽しそう。でも他にすることないんだろうか。


3/23 ブレイズ頭の日本人を見かけたハーレムのお婆さん。「まあ、日本で流行ってるの? 私は今85歳だけど、子供の頃はずっとブレイズだったから、新しいスタイルってわけじゃないのよ。ほほほ…」。とっても上品な人でした。


3/25 ハーレムのストリートに名物のアイスクリーム屋台が出てきたし、アフリカンの女の人たちは、コートを脱いでカラフルなアフリカン・ドレスを着始めた。ハーレムにも春がやってきたのだ。


3/26 ハーレムでもネイルサロンは韓国系の経営。休憩中なのか、昔風にアイラインもくっきりとメイクしたコリアンのおばさんが、店の前でタバコを吸っていた。ネイルの料金を訊ねたら「ナインティーン・ナイティナイン!($19.99)」と答えてくれた。移民ってたくましい


3/27 ハーレムのドーナツ屋で聞こえてきた話。「双子の世話をしなくちゃなんないのよ、ママがジェイルに入っちゃったから」。これもハーレムの、ひとつの側面。


3/28 よく行くアフリカン・ストアになじみの店員がいて、彼は翌日、故郷のマリ共和国に里帰りすると言った。ところが翌日、彼はやはり店にいた。「アフリカに帰ったんじゃ…?」「それは兄ちゃん。ボクは弟だよ」。これまでずっと彼らを一人の人物だと信じていたのだ。


3/29 ハーレムの食料品屋には「Jamaican」というブランドのガラス瓶入りソーダがある。製造元会社の住所はほんとうにジャマイカ。透明だけどクリームソーダのフレイバーで、ラベルにはサングラスをかけた下手なネコのイラストが描かれている。


Jamaican Cream  Jamaican Cream



ハーレム徒然1月編
ハーレム徒然2月編
ハーレム徒然3月編
ハーレム徒然4月編
ハーレム徒然5月編
ハーレム徒然6&7月編
ハーレム徒然8月編
ハーレム徒然9月編
ハーレム徒然10月編
ハーレム徒然11月編



What's New?に戻る
ハーレムに戻る

ホーム