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2001/09/11

米国同時多発テロ事件 #01


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 ニューヨークは今、夜中の12時です。長い一日でした。朝9時過ぎにテレビを付けた瞬間に、猛煙を吹き出すワールド・トレード・センター(WTC)を見ました。戦慄の一瞬でした。


 私はマンハッタン北部のハーレムに住んでいますから、マンハッタン南部のワールド・トレード・センターとは10キロほど離れています。だから事件直後に電話が不通だったこと以外は、現場付近のような緊迫感はありません。それでもハーレムからすらWTCから吹き出す煙は見えました。


 WTCのツイン・ビルでは4万人が働いており、1日の来訪者が15万人。今回の事件では『数千人』が亡くなっていると報じられています。けれど救援活動はまだまだ進んでいませんし、死者の確認もできていません。つまりWTCで働いている人で、いまだに家族に連絡のない人、帰宅していない人は亡くなっている、ということです。自宅で待機しているご家族の気持ちを考えると、ほんとうに気の毒です。


 日中、ホワイトハウスやCIAなどに避難勧告が出ましたが、街中にある警察署にもテロ警戒令が出され、警察署のあるブロックはそれぞれ通行止めをして不審者が近づけないようにされました。病院など人が多い施設にも警護がつきました。


 事件発生時には子供たちは既に登校していましたが、保護者になるべく早く迎えに来るよう連絡が取られました。しかし交通網のストップで結局夕方まで来れない親もいました。その間、『水道水に毒が混入される』という噂も流れ、子供を預かっていたハーレムYMCAは万一に備えてウォータークーラーを封鎖しました。ある小学4年生の女の子は、学校で先生から何が起ったか、いかにたくさんの人が亡くなったかを聞いて泣いてしまったと言っていました。明日はニューヨーク市内の全校が休校になりますし、証券取引所なども閉鎖です。今夜予定されていたラテン・ミュージック・グラミー賞や野球の試合なども延期となりました。


 テレビの主なチャンネルは終日、事件を報道し続けていますが、夜になって政治家などのコメントが流され始めました。そのなかにテロへの報復措置や戦争を匂わせるものが徐々に増えています。不気味です。中には『これは第二の真珠湾だ』という発言もありました。


 さらに気になるのは、ニューヨークにたくさん暮らしているアラブ系の人たちです。彼らもニューヨークの、いわゆる人種のサラダボールの一角を成しており、ハーレムにもアラブ系が経営する食料品店がたくさんあります。人々がヒステリックになり、彼らを意味もなく攻撃することだけは避けて欲しいと願っています。


 実はクリントン前大統領がオフィスを構えるハーレム125丁目で、午後に『車爆弾』が爆発したという噂が流れました。こういった非常事態時には根拠のない噂がまことしやかに流され、人々は容易にそれを信じてしまいます。


 明日もまた、長い一日になりそうです。

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