2001/04/10
ハーレム150丁目の風景 #02
ニューヨークにもとうとう春がやってきた。
4月9日の月曜日。
日中の気温は78度。(※1)
午前中から、なんだか外が騒がしい。
子供たちの声がたくさん聞えてくる。
そう、今日から1週間、春休みなのだ。
表に出てみる。
空は青くて、空気は暖かく乾いている。
ダウンタウンと違ってハーレムは建物が低く、道幅が広い。
だから気持ち良く歩ける。
・・・・・
ハーレムでは気温が上がると、途端に人々が通りに姿を現す。
まるで冬眠から覚めた公園のリスのようだ。
大人たちは建物入り口の階段付近で
立ち話に余念が無い。
アパートの窓も大きく開け放たれて
そこから大音量のヒップホップやR&Bが流れ出している。
子供たちはクロゼットにしまってあってスクーター(※2)を
取り出し、器用に乗りこなしている。
公園でも小さなブラウニー(※3)のような子供たちが
順番をきそって、すべり台を転げ落ちている。
赤いシャツに白いパナマハットの老人は
通りにイスを持ち出し、陽射しを浴びながらの居眠り。
ダンバー・アパートメント(※4)の前では若いカップルが
これもイスを持ち出して、彼女が彼の髪を編んでいる。
その脇を、カラフルでぴったりしたTシャツ姿の
ティーンエイジの女の子たちが通り過ぎる。
それを横目で眺めている
FUBUのシャツを着た少年たち。
・・・・・
天気が良いから、みんな笑っている。
これもハーレム150丁目の風景。
※1:華氏78度=摂氏26度
※2:スクーター=キックボード
※3:Brownie=チョコレートを使った焼き菓子
※4:Dunbar Apartments=1928年に建てられた由緒ある大型アパー
トメント・ビル群。現在は低所得者が多く住む。