シングルマザーと子だくさん

2000/10/05

シングル･マザーと子だくさん

ボクのマミーは学校の先生。ボクが小さかったころは、ダディとケンカばっかりしてたけど、ボクが７つの時に結婚して、今は仲良しなんだ。ボクのマミー見たことあるでしょ？　そう、ボクとそっくり、おんなじ顔！！　ハハハ！（ジュリアン　９歳）

ボクのマムは、13歳でボクを産んだんだ。マムはね、ボクのこと、欲しくなかったんだー。（ドミニク　10歳）

兄弟はね、お兄ちゃんと弟が３人。え？男の子３人と一緒は大変かって？　ううん、だって一緒に住んでないから。（ザキア　10歳）

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ハーレムには子供が多い。住人の半分は未成年で、そのまた半分以上は小学生以下で、さらにその半分が赤ん坊ではないかと思う。通りには、とにかく子供とベビーバギーを押した若い母親の姿が多い。

子供たちは、今、大流行のスクーター（キックボード）を器用に乗りこなし、でも時には転んで母親たちに「なにやってんの！　気をつけなさい！」と叱られたり、クオーター（25セント玉）や、１ドル札を握ってデリ（食料品屋兼総菜屋）に駆け込み、駄菓子とソーダ水の品定めに夢中だったり。

これが、ハーレムがマンハッタンの他の地区に比べて活気のある理由だ。例えばグリニッジビレッジの街角に立ち、20～30分も通行人を眺めてみれば、その違いがよく分かる。子供はめったに見かけない。ビレッジに住む高収入でお洒落な人たちは、子供を作る代わりに犬を飼う。だからこの辺りでは、子供よりも犬の数のほうが多い。

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子供たちのおかげで、にぎやかで下町的な風景のハーレムではあるけれど、では、なぜ子供が多いのかというと、そこには問題がある。

ひとつには教育レベルの低さが原因。10代でのセックスは当たり前で、避妊もしない。妊娠したら学校を辞めるけれど、結婚はしない。シングル・マザーになれば福祉金がもらえる。子供の数が増えれば、それだけ福祉金も増える。だから子だくさんになることを気にもせず、違う男性との間に子供を産み続ける。高卒の資格もなく、20代前半で既に３人の子持ちとなれば、もう就職は至難の業だ。

一方、きちんと教育を受けた女性も、やはり若くしてシングル・マザーとなる傾向がある。それは「シングル・マザー」と「子だくさん」が、ごく当たり前のこととなっている黒人コミュニティでは、自分もまたそうなることに何の抵抗がないからだ。また、男性側にも問題がある。シングル・マザーがあまりにも多いので、避妊をしなくてはならないとか、妊娠させたら結婚しなくてはいけない、といった気がさらさらない。要は「産ませ逃げ」の傾向があるのだ。だから女性側も男性をあまり当てにはしていない。

ラティーシャ（21歳　ОＬ）は、妊娠６ヶ月。日に日に大きくなるお腹をさすりながら「ちゃんとした母親にならなくちゃ」と言って、妊娠前より地味な服装をするようになった。通りでだらしない格好の妊婦を見かけると「だめよ、あんなんじゃ」と憤る。そのラティーシャも結婚はしていない。「お腹の子供の父親とは別れて、今は新しい恋人がいるの。彼との結婚？　まだしない。そうねえ、２年以内にできたらいいかしらねえ。だって彼が子供の父親にふさわしいかどうか、ちゃんと見定めなくちゃ」

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