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2005/03/22




ハーレムの中のリトル・アフリカ


 今回は取材こぼれ話。というか、実は雑誌の記事用に書いたものの、残念ながら割愛した部分です。移民コミュニティに興味ある方には面白い内容だと思います。




(成り行き → 前夜、ハーレムで開催されるアフリカン・コンサートを取材する予定だった私。ところがコンサートはいきなりキャンセル。あせった私は翌日、他のコンサート情報を得るために、ハーレムの中にある「リトル・アフリカ」に行った。アフリカ移民コミュニティの情報を仕入れるには、ここに来るのがいちばん早くて確実なのだ。)


 予想的中。とあるアフリカン・レストランの入り口に、これもかなり人気のあるセクバ・バンビーノのコンサートのポスターが貼られている。しかし、すべてフランス語で書かれている上、肝心の日付部分が汚れていて読めない。


 ちょうどレストランから出てきた中年の男性客(スーツにコート、Land's Endのマフラーなんか巻いていて、かなり洗練されたオシャレさん。)に、このポスターを読んで欲しいと頼むと、「おや、これは今夜だよ」とアフリカ訛りの英語で言う。ポスターには不思議なことに主催者の電話番号がない。私が「レストランの人なら連絡先を知ってるかなぁ」とつぶやきながら店内を覗くと、男性は常連客らしく、「あのウエイトスは英語を話さないよ」と、カウンターの女性を指差す。


 では、例のCD屋に行って店員のマケェィに聞こう。行ってみるとマケェイは休みだったが、床に座って食事中の男性店員が「このコンサートなら、この先の『オフィス』のアブゥが知ってるはずだ」と言う。


 移民街にある「オフィス」とは、移民局や収税局への提出書類の記入や手続き、英語を話さない者への翻訳&通訳サービス、母国への仕送りの送金などをあれこれ手掛ける事務所だ。恰幅のいいアブゥ氏は、何かの書類を手にした女性客を待たせ、私の話を聞いてくれた。
「日本の雑誌の取材? そういうことなら主催者に電話してあげよう。友だちなんだ」。


 こういった成り行きで、めでたくコンサート開催の確認が取れ、プレスパスももらえることとなった。(と言っても、コンサート会場に着いたらアブゥ氏の携帯に電話するだけ。)


 移民の街では、このようにお互いがお互いを知っている。緊密なコミュニティだ。事情を知らない部外者が入り込むことは難しいけれど、いったんコネクションや、情報の仕入れ方のノウハウをつかむと、とんとん拍子に話が進むこともある。CD屋の店員がアブゥ氏のことを教えてくれたのも、私がマケェィの名前を出したからかもしれない。




さてさて、本編は現在発売中のミュージック・マガジンで読んでください。楽しい記事です。

「アフリカン・アメリカンの街に住むアフリカ移民たち〜ハーレムの中のアフリカ音楽リポート」ミュージック・マガジン4月号(3/19発売)掲載

●ハーレムの中にある「リトルアフリカ」コンサート潜入リポート!
●ユッスー・ンドゥールと50セントが同時に愛される理由は?
ヒップホップ系R&Bの大型新人エイコンもアフリカ育ち!
●アフリカン・アメリカンとアフリカ移民の関係は?



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