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2004/06/01


ハーレム mini ジャーナル
-2004年5月-

5/3
1983年、ハーレムに暮していた26歳の美容師エレインは4人の子どもを抱えるシングルマザーだった。貧困に耐えかね、コカインの運び屋の仕事を2500ドルで請け負った。電車に乗り、マンハッタンから3時間の郊外まで運ぶだけ。ところがおとり捜査官に逮捕され、初犯であるにもかかわらず20年の刑を受けた。続く。



5/5
エレインは結局16年を獄中で過ごし、2000年に42歳で釈放された。ところがその間、母親不在で育った娘は鬱病になり、息子は麻薬売買で刑務所入り。これが麻薬を撲滅させるという名目で作られた厳しすぎる法律「ロッカフェラー法」の結末。エレインは自伝を出版し、全米を回って実態を訴えていく。


5/7
黒人女性と待ち合わせして私が遅刻したとき、彼女は冗談を言った。
「あなたもCP Timeなのね!」 CP Time=Colored People Time
カラードとは本来は有色人種のことだけど、この場合は時間にルーズなことで知られる黒人を指す。さらに彼女は続けた。「あなたはカラードじゃないのに」 ほらね、アジア人は範疇外。


5/10
現在『Men on Fire』でまさに炎の男を演じているデンゼル・ワシントン。夏には1962年『影なき狙撃犯』リメイクも公開されるが、オリジナル版の主役は、なんとフランク・シナトラ! さらには1970年代のハーレムに実在したギャングの生涯を描く『Tru Blu』主演も決定。監督は『トレーニングデイ』のA・フークアだ!!!


5/12
ハーレム再開発も第2ステージに突入した模様。4年前に華々しくオープンしたディズニーストアとHMVが閉店し、低所得者優遇(?)&銀行強盗発生率の高さで知られるC銀行が進出。そして、ハーレム初の日本食店「ハーレム・テリヤキ」が開店! まさかハーレムでうどんが食べられる日が来るなんて。


5/14
通りで警官が男性を身体検査している光景を時々見かける。“挙動不審”として呼び止められた人物はポケットの中のものまですべてチェックされ、何も出てこなければ、そのまま無罪放免。ところで私服警官はなぜ揃いも揃ってヤンキーズのシャツを着ているのだろう。ほとんど制服と化していて、あれじゃ刑事丸出しだと思うが。


5/17
週末にうちのアパートの前でストリートフェアがあった。屋台とともにDJブースも当然あり、朝から夕方まで爆音ヒップホップやJBがノンストップ。2時になると、近所のアフリカンドラム教室から毎週恒例の激打リズムも聞こえてきた。JBに対抗してか、いつもよりさらに激しくウルサい。こんな日に仕事していた私が悪いのか。


5/19
所用あってウォール街へ。ご存知のとおり金融の街なのだけれど、弁護士事務所も多く、高価なスーツを着たかっぷくのいい弁護士っぽい白人男性が3人もつれだって歩いている。ハーレムのストリートで日がな一日タムロしている黒人のおじさん3人組とはずいぶん違う。年収の違いはいかほどだろう?


5/24
ハーレムに住む11歳の少年ニックは母親が麻薬中毒で父親は不在。だからおばあさんがニックを引き取って育てている。3年前のニックは、ろくに喋りもしなければ笑うこともなかった子どもだったのに、いつのまにか普通に友だちと遊べるようになっていた。ところが最近、急に飛び降り自殺未遂を起こし、今は特殊児童校にいる。


5/26
携帯で話しながら125丁目を歩いていたら、アフリカ人女性が「ねぇ、ブレイズやらない、ねぇ!ねぇ!」とついてくる。続いてホームレス男性が「姐さん、結婚してんの?」とやってくる。指輪をはめた左手を差し出すと「結婚して何年?」。「5年よ!」とウソつくと「あ、そう」とフェイドアウト。年数が関係あるの?





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