NYBCT

2004/04/01


ハーレム mini ジャーナル
-2004年3月-

3/1
ダウンタウンのサブカル系のメッカ、ブリーカー・ストリートでマックスウェルを見た。携帯で話しながら、インラインスケートですいすいと滑っていった。まるで一般人みたいな振る舞いだったけど、笑顔がキュートで10点満点。彼はニューヨーク・ブルックリンの出身だったのですね。



3/2
先月亡くなったジャズドラマーのメモリアルイベントに行った。故人と仲の良かったアフリカンダンサーSDDZも来ていた。SDDZは踊る予定はなかったものの、頼まれると服を脱いで即興で踊り始めた。と言っても全裸じゃないよ。パンツの下にちゃんと薄いスウェットを履いていた。プロはいつも準備万端なのだ。



3/4
ハーレムのファンキー人権活動家アル・シャープトンは大統領選に立候補していた。若き日の師匠ジェームズ・ブラウン譲りのヘアスタイルを地味目に押さえて選挙活動したものの、各州で大負け続き。それでも他の候補者と違って最終日まで戦い続けるところは、黒人なのにサムライ魂(?)



3/5
ゲイマリッジ(同性愛者結婚)で揺れるアメリカ。ブッシュは怒ってるけど、結婚するカップルが続々と出ている。友人の黒人女性も、まだ結婚には踏み切っていないものの、「ルーシーが私の“ワイフ”だって、あなたも知ってたでしょ」と、なにげにレズビアン宣言。みんな元気づけられているんだな。



3/6
ハーレムに住んでいるゲイカップルが、却下されることを承知の上で市役所に行き、婚姻届けを出したというニュース報道。そのふたり、兄弟かと思うほどに顔も体形もそっくり。夫婦は顔が似てくるって本当なんですねえ。法律上はともかく、気持ちはとっくの昔に夫婦なわけで。



3/8
ハーレムで地下鉄に乗ったら「黒豹」と漢字で書かれた赤い野球帽のおじさんがいた。昔、ブラックパンサー党のメンバーだったのだろうか。当時、日本のメディアでは「黒豹党」と訳されていたっけ。でも党のイメージカラーは黒だし、おじさん、意味も知らずに被ってる?読んでた新聞の見出しは「カリスマ主婦有罪」だったし。



3/10
火曜日、午後5時半、託児所にて。
ウィル(8歳)「ダディが迎えに来ない。もう来るはずの時間なのに」
私「仕事が忙しいのかもね」
ウィル「ダディ、仕事してないもん」
ハーレムに暮す16〜64歳の男性の失業率は50%



3/12
ハーレムの地下鉄駅で電車待ちのあいだに、ある男が他の男性客に理由もなくケンカを売りはじめた。「おい! オレとケンカしようってのか!え!」「相手を間違ってるぜ!」「オレたち黒人は白人と戦わなくちゃならないんだよ!」……私のとなりで新聞を読んでいたおじさんは頭を振りながら「クレイジー」とつぶやいた。


3/15
風邪をこじらせ、ハーレムにある小さな個人開業医へ。ひなびた待合室には低所得者用保険の加入者向けのお知らせがびっしりで、一般保険加入者は診てもらえないのか?と一瞬不安になるほど。顔色が悪くて無口なアルゼンチン人ドクター自ら診察室から出てきて次の患者の名前をひっそり呼ぶし。



3/17
日本のネットニュースで不思議な表記を発見。「米大統領選で民主党候補指名を争ってきたアフリカ系(黒人)のシャープトン市民団体代表が〜」。これは「アフリカ系」と「黒人」がイコールでつながらない人のためか。まあ、アフリカには白人だっているといえばいるんだけど。



3/19
ハーレムで中学生の少年が、理由もなく通行人の年寄りを殴った。
おじいさんはバランスをくずして倒れ、顔を切って出血。一部始終を通りの反対側から見ていたドラッグディーラーの男達が「なんてこと、しやがるんだ!」と言いながら、少年に殴る蹴るの“制裁”を加えて警察に引き渡したとか。ハーレム流のモラル。



3/23
取材で近所の小さな教会の日曜礼拝へ。こじんまりとした内部、「ようこそ」と迎えてくれる信者のおじさん、地味な牧師のお説教と落ち着いたトーンのゴスペル、来週の催し物のお知らせ、その最中にこちらを振り返って笑う白いブラウス姿の女の子と居眠りをしている男の子……。これがハーレムの地元教会。



3/24
うちの隣りに住んでいるのは黒人男性とイラク人女性のカップル。イラク人といってもベールを被ってるわけじゃない。イベントオーガナイザーとして世界中を飛び回っていて、今週はウィーンに出張中。ハーレムもなかなかインターナショナルな今日この頃。



3/26
シャリースはハーレムに住む高校生。かわいいし、学校の成績も良いらしい。しかも性格もスウィート。会うたびに「ハ〜イ! さぁ、あなたをハグさせて!」と言いながらガバッと抱きついて、「ン〜!チュッ!」と頬にキスしてくれる。でも、これって弱冠17歳にしては貫録ありすぎ。将来は“ビッグママ”と呼ばれること必至だ。



3/31
シルヴァーは7歳の女の子。「わたし、ボーイフレンドがいるの」「同じクラスの男の子で、授業中に『アイ・ラブ・ユー』って書いたメモを渡してくれたの」「でもわたしは、その子のこと好きじゃないから、ベーッ!てベロ出してやったの」。それでも“ボーイフレンド”なわけね。





What's New?に戻る
ハーレムに戻る

ホーム