NYBCT

1999.7.31

TVドラマにもっとマイノリティを!
NAACP-全米黒人向上協会-がもの申す



 
●先日、ニューヨーク郊外で行われたウッドストック・コンサートが暴動で終わってしまったのはご存じのとおり。なんでもレッド・ホット・チリ・ペッパーズがジミ・ヘンドリックスのその名も「ファイアー」を演奏中に、興奮したファンたちが火を付け出したのが始まりとか。理由は売店で売られていたものの値段の高さに腹が立っていたから。「5ドルのプレッツェルでお前が手に入れたものはこれだぁ〜!!」と叫びながら暴れまくったらしい。どうせアルコールとドラッグで酔っていたんだろうけれど、それにしてもこれってアメリカ人の単純さと幼稚さをもろに露見している。“気に入らないものは攻撃してしまえ” …ん? 大統領とおんなじ? まぁ、普通1ドルちょっとのプレッツェルが5ドルというのは確かにぼったくりだけれど。とにかく、これで来年以降、ウッドストックの開催はないでしょう。


 
●そしてニューヨークでは、バーやレストランでのアルコールの割引サービスがこの秋より禁止されることとなった。例えば“木曜日はレディース・デイ〜女性はドリンク無料”とか“平日4時まではバドワイザー1杯10セント”とか、その類いのサービスが行えなくなる。無料やタダ同然の値段をいいことに暴飲、泥酔する輩を一掃するためだとか。条例を提案した上院議員は「これで“ミニ・ウッドストック”を防げる」とおっしゃってますが。
一方、バーのオーナー達は怒ってる。レディース・デイは女性が集まる→その女性を狙って男が来る→儲かる、の図式がなくなるから。(ところで女性の権利に結構うるさいニューヨークの女性たちだけれど、タダ酒にありつけるなら、男性客を釣るためのエサに使われても別に気にしてないみたい) 
ちなみに映画でよく見かける、バーテンが常連客に「これは店のおごりだぜ」と言ってグラスを差し出す渋いシーン…これも禁止の対象になるそうだ。


 
●ニューヨークでは相変わらず暑い日々が続いている。雨もほとんど降らず、このままでは水不足になる様相。市長は市民に対して「歯磨きやヒゲそりの際に水を流しっぱなしにしないように」とお達しを出した。これって水不足じゃなくても当たり前のことだと思うんだけれど。


 
●先日、全米でもっとも歴史のある人権団体NAACP(全米黒人向上協会)が創立90周年のイベントをニューヨークで開催した。その際に、全米4大ネットワークの秋からの新番組に対して「マイノリティが主要な役をほとんど演じていない」とのクレームを読み上げた。その結果、4大ネットワークのひとつ、NBCは出演者の追加を発表。「ER」を始めとする人気番組の新シリーズや新番組にあらたに黒人、ヒスパニック、アジア系のキャラクターを登場させる。
ところで「NAACP/National Association for the Advancement of Colored People」は日本では「全米黒人向上協会」と訳されており、実際、黒人の団体なんだけれど、「カラード・ピープル」というからには実は日本人も含まれてしかるべき? 事実、彼らは黒人だけではなく「マイノリティの出演者」を要求し、テレビ局側の回答には中国系の人気女優ミンナ・ウェンの「ER」再登板も含まれている。そう、私たち日本人は「有色人種」です、念のため。


 
●ニューヨークではこの夏、ペニー(1セント硬貨、日本で言うなら一円玉)が極端に不足。別に造幣局がサボっていたわけではなく、市民が貯め込んでいるから。私たちも一円玉は使うのがめんどうだから、ついつい机の引出しなんかに貯め込んでしまうけれど(いや、貯蓄目的ではないので“溜め込む”が正しいか?)、アメリカ人はペニーをとことん使わない。ニューヨークでは8.25%という、なんとも半端な消費税がつくので、現金で買い物すると必ず何枚かのペニーがおつりとして返ってくるが、それらは使われることなく、自宅に置いてあるデッカいビンに放り込まれる。
困ったマクドナルドは10ドル分のペニー(1000枚)を持ってきた客にはビッグマック1個をプレゼント。チェイスマンハッタン銀行はペニー50枚を持ち込んだ客に5セントをサービス。
アメリカ人の問題解決方法はいつも直球、ストレート。えらい。

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